α様は毒甘な恋がしたい


 それなのに……


 人に見せられないほどの汚い感情が、私の中に居座っている。

 どす黒く濁る悲しみ沼に、ハートが突き落とされそうになっている。



 ねぇ、戒璃くん。

 私の首のうしろを噛んだこと、本当に覚えてないの?


 【運命の番だね】

 そう囁いてくれた幸せな時間を、思い出の宝箱に大事にしまっているのは私だけなの?


 テレビの前では、誰に対しても優しい笑顔を振りまくのに。

 私には、拒絶めいた冷酷な視線を突き刺してくるなんて……


 ほんと無理なの。

 シンドイの。

 苦しくてたまらないの。

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