α様は毒甘な恋がしたい


 増し増しにこみあげてきた怒り。

 俺は手にしていた生徒会入会用紙をギュー。

 シワシワになるほど思いきり握りしめたのに……

 噴火しそうなほど煮えたぐる怒りの熱量は、一向に下がらない。


 わからないのは、高ぶる感情の静めかただけじゃなくて。

 抱いてはいけない「好き」の捨て去り方も、誰かに教えて欲しい。

 叶わぬ初恋の針山から、俺を助け出して欲しい。



 今朝この学園に着いた瞬間、俺は美心の極甘フェロモンを感じとれた。

 彼女が瞳に映っていなくても。

 違う階にいるくらい離れていても。

 美心のフェロモンだと、俺は確信をしたんだ。


 だから今はまだ、俺と美心は番関係のままだと断言できる。

 だが、この先はわからない。

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