α様は毒甘な恋がしたい


 うっ、嘘でしょ? 

 今まで気づかなかったけれど、戒璃くんのブレザーにシワが入ってる!

 私がフェロモンの誘惑に負けて、顔をこすりつけちゃったせいだ。

 どどどどっ、どうしよう……



 気が動転した私。

 掴まれていた戒璃くんの手をふり払いながら、立ち上がり


「本当にごめんなさい。クッ、クリーニングに出してくるね」


 走りだそうとしたけれど


「今から?」


 不機嫌そうに首を傾けられ、ハッ!



「あっ今お店に持って行っちゃうと、戒璃くんが着れなくなっちゃうか。職員室にアイロンはあるかな? なかったら家庭科室で借りて……クリーニングは放課後に……」


 どうしたらいいの? 

 テンパりすぎて早口になっちゃう。

 目がグルグル回っちゃう……

< 193 / 570 >

この作品をシェア

pagetop