α様は毒甘な恋がしたい
本当にいきなりだった。
予想外だった。
グワンと沈みこんだソファ。
私の体が少しだけ傾き、そのまま視線を右に。
紫を溶かしたようなサラサラ髪が目に入り、ドキリ。
肩がぶつかりそうなほど近くに戒璃くんが座っていて、バクバクバク。
私の心臓が無駄にきしむ。
長い足を組んでいると、本物の王子様みたいだな。
『お城でくつろぎ中です』と吹き出しをつけ、優雅に紅茶を飲んで欲しい。
はぁ~
微笑む推しを拝みながら変な妄想に走るクセ、何とかしなきゃな……って。
ほっほほ、微笑んでる?
私に向かって?
おかしい、おかしい!
さっきまで戒璃くんは、不機嫌そうに眉を吊り上げていたのに。
今は私の顔を見て、ニコニコなんて。