α様は毒甘な恋がしたい


「わっ私、割れた花瓶を片付けなきゃ。水浸しの床も拭いて、花も……」

「大丈夫だよ。この部屋は、生徒会長の俺が責任をもって綺麗にしておくから」

「でも……」


 違うの!

 私は戒璃くんと話したいの!

 あなたの本心が聞きたいの!


 お願い。

 もう少しだけ一緒にいさせて……





 私は今、必死な顔をしているんだろう。

 涙をぐっと堪えながら。

 戒璃くんとの縁を、なんとか繋ぎとめたくて。



 今ここで伝えてもいい?

 戒璃くんのことが大好きだよって。

 2年半前から変わらず、大好でたまらないんだよって。



「あのっ……」

「割れた破片と一緒に、捨て去りたいものがあるんだ。俺のことは気にしないで」

「戒璃くん、私ね」

「それと転入生さん」

「……?」

「学園内ですれ違っても、二度と俺に話しかけないでね」

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