α様は毒甘な恋がしたい
はぁはぁ~、結構しんど。
のどと腹筋の疲労感が半端ない。
肺活量キャパ越えの大声を出したの、現世では初めてだよ。
一応、僕の頑張りは実を結んだみたいで
「……えっ? 孝里?」
目の前に立つ僕に、麗しいキョトン顔を披露した戒ちゃんは
ピタっと、ギターを鳴らすのをやめた。
「……俺……何をしていたんだっけ?」
えっ?
今までギターを弾いてたでしょ?
それすら覚えてないの?
まるでタイムスリップしてきた高3男子みたい。
戒ちゃんは首をかしげながら、目だけを左右に動かしている。
戒ちゃんってさ、どれだけシャボン玉に思い入れがあるんだか。