α様は毒甘な恋がしたい
私は椅子から立ち上がった。
その勢いのまま、震え声を張り上げる。
「歌います! 月曜日のライブで! 歌がうまくない私なんかでよければ!」
私の宣言のあと、パーっと明るく輝いたクラスメイト達の表情。
「美心ちゃんって、ほんと性格いいよね」
「アルファの鏡だよ」
「一生、美心ちゃんとお友達でいたい」
「私も~」
みんなが私を褒めたたえてくれたことに、安どのため息をついた私。
この時、みんなに笑顔を振りまいてばかりで、私は気づかなかったんだ。
「フフフ、引っ掛かった」
「案外ちょろいわね、この子」
孝里くんと祈さんが片側の口角だけを上げ、悪っぽく微笑んでいたことに。