α様は毒甘な恋がしたい
シャボン玉に閉じこめた初恋
☆戒璃side☆
公園嫌いな俺は今、公園のベンチに座っている。
自分の意志で来たわけじゃない。
「ねぇ戒璃。痺れちゃうほどカッコいい新曲のタイトル、まだおりてこないんでしょ?」
歌番組の収録を終え、テレビ局から寮に向かう車の中で。
「そういう時は、気分転換が一番よ」
俺の隣でシートベルトを締め
「聖女かぶれの私にはわかるの」
艶めいたピンク色の髪を揺らす祈に
「あの公園のベンチに座れば、神タイトルが降ってくるわ。絶対にね!」
バサバサまつげを印象付けるように、濃いウインクをとばされ
「はい着いた。戒璃、今すぐ降りて!」
見た目が『華奢な美女』とは思えないほどの怪力で、車から追い出された俺は
「一時間後に迎えに来るから。戒璃、頑張ってね~ いろいろと~」
見知らぬ公園に、なぜか置き去りにされてしまったんだ。