α様は毒甘な恋がしたい
番のオメガのフェロモンに充てられたせい。
ラット状態になってしまったせい。
なんていうのは、ただの言い訳だ。
後頭部や顔にキスを降らせ
ソファに寝そべる美心に覆いかぶさったなんて――
犯罪以外のなにものでもない。
俺に襲われかけていた時、美心は恐ろしかったに違いない。
はぁ……
大好きという感情はなぜ、他人の心も自分の心も痛めつけてしまうのだろう?
美心を宝物のように愛でたいのに。
自分の手で幸せにしたいのに。
俺の中で独占欲が暴れ出して。
美心の恋熱を唇で確かめたい衝動に、とりつかれたように駆られてしまうんだ。
もう美心は、俺のものじゃないのにね。
首を噛んだあの日、俺がみずから手放した宝物で。
2年半繋がっていた番という名の赤い糸は、すでにプツりと切れている。
今はもう、美心は双子アイドルのもの。
3人の間には、新たな番関係が成立しているんだろう。