α様は毒甘な恋がしたい


 ルキは俺との関係を叔父と言ったが、それは違う。

 俺たちは血なんか繋がってはいない。

 彼はいけにえとして差し出された俺を、15歳まで天界で育ててくれた人。

 そして――

 今までにいくつもの星を滅ぼしてきた、残虐非道と名高い【前・破壊神】だ。



 わざわざ地球に出向いたということは、ルキの中でめんどくさいを上回る対価が、手に入るということだろうか?

 何をしに来た?
 

 「お嬢さん、少し(おい)っ子の戒璃を借りてもいいか?」

 「あっ、はい。もちろんです」

 「悪いな」

 「私、向こうの日陰でシャボン玉を吹いてますね」


 俺の叔父と聞いて、美心の中でルキに対する警戒心が薄まってきたようだ。

 美心は口角を上げ軽く会釈をすると、公園の隅の方に走って行った。


 そんな心清らかな美心とは真逆。

 俺は警戒レベルを最高値に跳ねあげ、こぶしをギュっ。

 ベンチから立ち上がり、真剣な顔でルキと対峙する。

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