α様は毒甘な恋がしたい

 「あー、よーく知ってるさ。七星(ななほし)美心(みこ)。親に捨てられたオメガ。生まれた時から施設で育ち、14のクリスマスに戒璃と出会った」

 「……っ」

 「俺が知ってることはまだまだあるぞ。戒璃は七星美心を好きになり、首を噛んで番関係になった。そしてあの子を守るために、地球を破壊しなかった。天界に戻ってきたとき、俺が怖すぎて本当のことを言えなかったんだよな。だからあんなウソを。全地球人のメンタルを破壊する気なんか、サラサラなかった癖に」


 ……最・悪・だ。

 ルキは俺の裏切りを、最初から知っていた。

 そのうえであえて、俺を地球で泳がしていたんだ。

 八神戒璃は信頼していい男なのか、自分の目で確かめるために。


 「この2年半もの間、何度も込み上げてきたさ。あきれ笑いがね。俺の監視に全く気付いていない、戒璃の能天気さにも。そんな男を自分の後継者として選んでしまった、自分のアホさにもな」
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