α様は毒甘な恋がしたい


 落ち着け。

 うろたえるな俺

 ルキとは8年もの間、ニセ親子として時間を共にしたんだ。

 とりあえず、ルキがこの場で怒って地球を破壊しないよう、最善の注意を払って……


 「ルキ、俺の話を聞いて」

 「もういい」

 「え?」

 「もういいんだ、戒璃。地球なんて壊さなくても」


 それって……


 「俺の代わりに、ルキが破壊神としての使命を果たすつもり?」

 「興味がなくなったんだよ。地球ドカンなんてものに」


 信じられない。

 ルキの口から、そんな言葉が出てくるなんて。


 「ルキ、本気で言ってる?」

 「ああ。全地球人の精神が壊れていく様も、見る気が失せたしな」


 とりあえず、最悪な地球ドカンは免れたってことか。

 それについては安心したけど……

 でもなぜだ?

 なぜ地球破壊をやめ、裏切り続けてきた俺に笑顔を向けている?

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