α様は毒甘な恋がしたい

 僕の目に映るのは、大好きでたまらない女の子。


 足が鎖で繋がれて動けないハルヒは、大粒の涙をこぼしていて


「その子は逃がしてあげて! 何でも言うことを聞くから! どんなアルファのところにでも奉仕に行くから!」


お願い、お願い!と、頭を床に擦りつけていて。


 ……あっ。


 その時、僕は気づいてしまったんだ。

 自分がおかしてしまった、とんでもないあやまちに。



 今の僕は、いわば人質だ。

 僕がこの男に捕まっている限り、ハルヒはどんな無理な要求も受け入れてしまうだろう。


 ハルヒを助けに来たはずなのに……

 僕がハルヒの足かせになってしまうなんて……

 悔やんでも悔やみきれない。

 僕の存在がハルヒを不幸にするなんて、絶対にあってはならないことだったのに!

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