α様は毒甘な恋がしたい
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
あまりの激痛で、ヨロヨロとよろけながら床に倒れこんだ店主。
彼が壁にぶつかったおかげで、思いもよらないチャンス到来!
床に倒れたんだ。
立て掛けてあった斧が。
回転しながら斧が床を滑って、なんとかハルヒの手が届くところに。
「ハルヒ、その斧を勢いよく振りろして!」
「斧?」
「目の前にあるでしょ! 自分の足の鎖を切って、今すぐ逃げて! 一人で店から逃げだして!」
僕は必死に叫んだけれど
店主に尻尾を掴まれたままの僕が、ハルヒは心配でたまらなかったんだろう。
顔面蒼白のまま、動けず体を震わせている。
そのすきに、店主が目をかばいながら立ち上がってしまった。
燃えたぎらせている怒りと一緒に、僕を頭上まで振り上げ
「クソ珍獣めが!!」
怒り狂いながら、僕を床に叩きつけると
「お願い、やめて!!」
ハルヒの泣き叫ぶ声が、悲しみのレクイエムのように響き渡る中
「地獄に落ちろ!」
店主が振り下ろした斧によって、僕の体は真っ二つになった。
これが僕とハルヒが永遠に引き裂かれた、悲しい前世の思い出だ。