α様は毒甘な恋がしたい
「私が飲ませたサプリのおかげで、美心ちゃんは今、ヒートを起こしてくれているでしょ?」
「……ヒート?」
「甘ったるいオメガフェロモンを、これでもかって程まき散らしているのが、その証拠ね」
……やっぱり。
私はオメガだったんだ!
客席でうずくまる生徒たちを苦しめている、元凶なんだ!
待って!
アルファだって嘘をついて、私はこの学園に転入してきたことになるけど。
過去の私は、なぜそんな犯罪めいたことをしたの?
転入前の記憶がほとんどないから、わからないよ。
もっ、もしかして私は……
アルファ学園の生徒と、番いたかった?
エリートオメガを手に入れたくて、詐欺まがいなことをしてしまったんじゃ。
それが事実なら、記憶がなくなる前の私は、手錠をかけられるくらいの悪人だということになるけれど……
自分の過去がわからなくて怖い。
とんでもない罪を犯したかもしれない自分が、怖すぎてたまらない。