α様は毒甘な恋がしたい


「ここにいる全生徒が美心ちゃんに襲い掛かるのも、時間の問題ね」



 ……えっ?

 私に襲い掛かる?

 アルファ学園の生徒みんなが?


 うずくまったまま、絶望顔を上げた私。

 孝里くんは瞬時に、怒りを噴火させたもよう。

 祈さんの真ん前に立ち、彼の胸をバンバンと叩きだした。


「いのりんは僕と約束したじゃないか! 二人で一緒に、オメガが幸せに暮らせる世界を作ろうねって! それなのに……」

「孝里、わかって。オメガは隔離すべきなの」

「隔離?」

「アルファを誘惑する人食い花でしょ? オメガは私たちにとって、害虫でしかないんだから」


「信じられない! 信じたくない! だって僕が知ってるいのりんは、オメガ差別が大嫌いで。世界中の人の心を救おうと、毎日頑張って配信を……」

「マリア様のように慈悲深く振る舞えば、みんなにバレないもの。この世で私が一番、オメガが大嫌いだって」
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