α様は毒甘な恋がしたい
アルファ学園の生徒たちが狙っているのは、間違いなく私だ。
本当に私はオメガなんだ。
今すぐ逃げなくちゃ。
でも……
体に力が入らない。
床に倒れこんだまま、私は立ち上がることさえできない。
「いのりん、彼らを止めて!」
悲鳴に近い孝里くんの叫び声。
「ダーメ」
甘い声を放ち、クスクスとポニーテールを揺らす祈さんが、本物の愉快犯に見えてしまう。
「このままじゃ、美心ちゃんが大勢のアルファに襲われちゃう!」
「それでいいのよ。このライブ配信で世界中の人に見せつけるんだから」
「見せつける?」
「ラット状態のアルファの群れにオメガを投げ込んだら、どんな地獄絵図になっちゃうのかをね」
「いのり……ん……えっ、なっなんで……」
「フフフ、孝里の強がりもここまでってところね。もう立っていられないでしょ? ステージにうずくまっちゃって、カワイイ子」
「……っ」