α様は毒甘な恋がしたい

「美心ちゃんのことは見逃してあげて」
 
「イノリ、俺に歯向かうというのか? 今日までオマエの復讐に協力してやったというのに」

「ルキには感謝してるわ。でも私が間違っていたの」

「はぁ? 間違いだぁ?」

「憎しみは誰かを傷つけて晴らすものじゃない。心を許せる相手を作って、悲しみを吐き出して、ごまかすものなんだって、美心ちゃんに教えてもらったのよ」


「よくわからんことをわめく生物だな、地球人って奴は」

「ルキもそうでしょ? 裏切った戒璃が許せなくて、ボロボロになるまで痛めつけるつもりでしょうけど。本当は、戒璃が自分以外になつくのが嫌だったのよ。親代わりとして、自分だけに心を許して欲しかったのよ」

「それは違う! 俺はそんな女々しくはない!」

「今のは認めたと同意だわ。嫉妬という感情に心当たりがあるから、声を荒らげたのよ」

「だから違うと言ってるだろう―が!」

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