α様は毒甘な恋がしたい
「ルキも憎しみの裏に隠れている悲しみという感情を、自分自身で認めるべきよ」
「イノリ黙れ! 俺は人生で一度も、悲しいなんて感情に支配されたことはない! 悲しみが生まれるのは、弱者の証だ! 俺は間違いなく強者なんだ!」
「落ち着いてよ、ルキ。一度、戒璃と話をしましょう。私が間に入るわ」
「必要ない!」
「お互いの気持ちをぶつけあうべきよ。血が繋がってないとしても、戒璃にとってあなたは育ての親なんだから」
「俺はもうあいつを家族だとは思わん。アイツは俺を裏切ったんだ。好きな女を守るために俺に嘘をつき。自分の使命すら果たさず。この地球で好き勝手生きている。恩知らずな奴なんだ!」
「ねぇルキ、戒璃を解放してあげてよ」
「解放だと?」
「罪もない子供を差し出す無慈悲集団から、あなたは小1だった戒璃を救ってあげたのよ。でもね戒璃は人間なのよ。あなたとは違うの。あんな重すぎる使命、とても人間には背負いきれないわ」