α様は毒甘な恋がしたい

「それではお待たせをいたしました。リモートオークションをはじめます!」


 どこにいるかわからない男性の発声が、会場中に響きわたる。

 画面からは「待ってました!」の大合唱。


 得体のしれない恐怖が、つま先から背中に駆け上がってきて

 今すぐ逃げなきゃ!

 そう思うのに、焦れば焦るほど私のお尻はソファにベタリ。


 画面に映る100個ほどの不気味な目。

 ねちっこく私だけを捕らえていて。

 立ち上がれないほど、足が震え出してしまった。


「エリートアルファの皆様、今回入荷したのは、特上のオメガですよ」


 ……えっ?

 入荷?


「よーく見てください。キレイな顔立ちの美少女でしょ?」


「いいねぇ」「若くてかわいいじゃないか」と、ニマニマと目じりを垂らしている人が多数だけど。

 もしかして私、商品として品定めをされているの?

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