α様は毒甘な恋がしたい
「あっ、ハルヒ。キッチンにいたの?」
孝里くんに見つかり、作業台から顔を出す。
「シンク下の棚の中がごちゃごちゃしてきちゃったから、整理をしてて」
「しゃがんでたからわからなかった。今日もね白桃を買ってきたよ。ハルヒ、一緒に食べよ」
「ありがとう」
おいでおいでと手招きをされ、私は孝里くんと祈さんがいるリビングソファの前に進んだ。
「今日の桃も、おいしそうでしょ?」
毎日毎日。
白桃白桃。
孝里くんの優しさには、大感謝だよ。
でもね、私はハルヒじゃなくてね……
「前世のハルヒはもっと泣き虫だったじゃん。ウジウジジメジメなハルヒに、毒舌かますのが快感だったんだよ、僕。だからハルヒ、泣いて」
ほらきた!
「今すぐ泣いて。15分間泣き続けて。ハルヒならできるよね? 簡単だよね?」
名前だけならまだしも、ハルヒになりきるように要求されちゃうようになってしまって……
「孝里、美心ちゃんを困らせないの」と、いつも助けてくれる祈さんにも感謝をしてる。