α様は毒甘な恋がしたい
「だって前世のハルヒは、もっと頼りがいがなくて、弱っちくて、そこが……」
「現世の美心ちゃんを見ようとしない、前世に未練タラっタラなツチノコ王子は放っておきましょう。さぁ美心ちゃん、私の部屋に来て」
「えっ?」
「たくさん買っちゃったの。美心ちゃんに着て欲しい服」
「またプレゼントしてくれるんですか?」
「絶対に美心ちゃんに似合うわ! 似合わないはずがないもの!」
「祈さん、もういいですから。今までたくさんの服をもらったけど、私は3日分の洋服があれば生きていけるんです」
「大好きな子とお揃いのお洋服を着るのが、私の至福の時間なの。心が乙女みょうりに尽きるもの。私の恋愛対象は女の子よ。今は美心ちゃんしか興味がないわ。一途なお姉さまと、楽しいことしましょうね。さっ、私と2階へ……」
「オマエなぁ、聖女づらして強引に部屋に連れ込もうとしてんじゃねーよ」
「うわっ56ビュー! 二人そろってる! もう帰ってきたの?」
「なぜ祈は、嫌そうな顔をしているのですか? 衣装チェックがすんなり終わったんです」
「美心を奪いに来る王子が増えちゃって、あからさまにがっかりしただけよ」