α様は毒甘な恋がしたい

 17年前、俺が産声を上げたのは間違いなく地球だった。

 日本にある田舎の集落。

 村人みんなが知り合いで、誰かが困ったらみんなで助ける。

 義理人情に厚い、優しい人たちばかりの村。



 大好きだったよ。

 年齢関係なく村の人たちと過ごす時間が。

 幼稚園から帰ると、山が俺たちの遊び場で。

 林の中を駆け回ったり、秘密基地を作ったり、俺は友達と笑い合ってばかりいた。



 でもね、俺の目に映っていたものは間違っていた。

 村人たちは優しくなんてなかったんだ。

 自分たちが生き残るため、俺を差し出す殺人集団。



 そんな恐ろしい現実に気がついたのは、小1の時。

 村の大人たちに羽交い絞めにされ、棺桶に押し込まれた後だった。



『なんで僕をこんな暗いところに閉じ込めるの? 出してよ!』


 本物の真っ黒な棺桶は、大人一人が寝そべるスペースしかなくて。


『開けてよ! お願いだから!』


 渾身の力を込めて棺桶を叩いても、無意味で。


『お父さんお母さん、どこにいるの? 助けて!!』

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