α様は毒甘な恋がしたい


 親に捨てられてからずっと他人を睨みつけてきた自分だとは思えないほど、俺はハチミツみたいな甘々な笑みをこぼしてばかりで。

 王子様が姫に求婚するような歯の浮くセリフを、美心に浴びせまくり。



 【他の男に取られる前に、(つがい)関係を結びたい!】



 合意のもと、美心の首のうしろを噛んだけれど。

 なんで俺は、勘違いをしちゃったんだろうな。

 幸せな時間なんて、続くはずがないのに。



 だって俺は『破壊神』

 この日じゅうに、地球を破壊しなければいけなかったんだから。





 『自分の使命』と『運命の恋』

 どちらを選ぶべきか、悩みに悩んだ俺。



 大好きな子の幸せが第一だ!と、地球を破壊するのをやめ。

 美心を幸せにできるのは、破壊神の俺なんかじゃない!

 運命の恋も捨て。

 悔しさと悲しみに耐えるために歯を食いしばりながら、俺は天界に戻った。
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