α様は毒甘な恋がしたい
 

 でも、ただで済むはずがない。

 破壊神として地球を滅ぼさなかったことは、死をもって償うべき重罪行為。

 俺の育ての親と言えど、前破壊神・ルキが黙っているはずもなく……


『俺が今から行って、地球を消滅させてくる!』

 
 ルキが鬼の形相で、天界から飛び降りようとしたから


 ――何とかして、ルキを止めなきゃ!

 ――美心の命が奪われる前に!


 俺はテンパりながら、やけくそでルキの腕をつかんだ。

 そして振り返ったルキに、とんでもない嘘をついてしまった。



『俺は地球そのものを破壊したいんじゃない! 全地球人の精神を破壊したいんだ!』



 熱意を爆発させるかのように大声をだした俺を、もの珍しそうに見つめたルキ。

『ほー、壊すのは精神のほうか』と、目じりを垂らし満足げ。


 ルキを天界に引き留めるまで、もう一押しか。

 こんなこと、微塵も思ってないけど……


『地球人全員を俺に沼らせる!』

『それで?』

『精神を操り、俺に服従させ、絶望地獄を味あわせるから! 必ず!』
< 73 / 570 >

この作品をシェア

pagetop