腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「えっ!? いや、大丈夫! 私、びしょ濡れだし、背中濡ちゃうでしょ!」
「具合悪いんだろ。いいから乗れって」
暖はお高そうな紺色のスーツを着ている。さすがにこんな良いスーツを汚すわけにはいかない。
…………やっぱり無理だ。暖におぶられたくない。
「もう治ったから大丈夫――――うわっ!?」
暖は私の腰に腕を回し、自分の元へ引き寄せたかと思うと、おんぶではなく、お姫様抱っこの状態で私の体を自分の体に密着させて担いだ。
「ちょっ、無理だって、暖! こんなの尚人にもされたことない!」
「俺は尚人じゃないんでね。良いから、ちゃんと傘持ってろって」
いくら暖だからといっても恥ずかしすぎる。
けれど、目線は自然と、高々と輝くシンボルタワーに向いた。
まさかこのロマンチックな光景を、暖と一緒に見ることになるなんて思わなかった。
「暖、ありがとう。少し元気出たかも。もう、車戻っていいよ」
「俺の事務所このタワーの中。ニ階に事務所構えてんの。事務所っても、普通に広々としてるし、仮眠室もあるし、風呂もトイレも洗濯乾燥機もあるから好きに使って」