腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー



「分かりました……暖が私でいいなら、よろしくお願いします」


 尚人と婚約破棄したばかりなのにこの、心の変わりよう。私も尚人と同類なんじゃないかと申し訳なくなる。


 無事に騒動が終わり、暖はお母さんに「また近いうちに来ます。お騒がせしました」と、挨拶をして家を出た。


「お母さん、また来るね」

「気をつけてね。今からお父さんにさっそく東郷くんのこと電話で自慢しまくるわー。あ、写真撮らせてもらっていい?」


 『ほらほら、和歌と東郷くん横に並んで』と、私達にスマホを向けるお母さん。こんなに笑顔いっぱいな母を見たのはいつぶりだろう。社会人になってから初めて見た気がする。


 車内の中は変に静けさを増していた。


 暖との関係性が今までと違うものだと思うと、緊張してしまう。


 それは暖も同じだったようで、「そんなに意識されたら調子狂うだろうが」と、柄にもなく恥じらっている。


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