腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「……それと、今日から和歌の居場所は事務所じゃなくて、俺の家だから」
「え? 家ってことは、あの豪邸?」
「そう。一旦事務所に帰って尚人に完済証明書のコピーを出さなきゃいけない。やることやり終えたら俺の家でゆっくり過ごそうぜ」
暖はそんなつもりじゃないと分かっているのに、もしかしたら今日の夜なにかあるんじゃないかと意識してしまう。そんな中、違う意味でドキッとすることが起きた。
「……尚人から電話だ」
「出てみて。スピーカーオンで」
暖に言われるがままにスピーカーをオンにして尚人の電話へ出る。
『今和歌の弁護士って隣いる?』
尚人の声は落ち着いていた。もう感情に振り回されることはなくなったのだろう。
「うん、いるよ」
『防犯カメラ、どこにつけてるのか教えて。これからも見られたまま生活はできないから』
和歌の変わりに電話を変わる。
「リビングと寝室。リビングは写真立ての横と、寝室はぬいぐるみの手に持たせてる」
『持たせてるって、なに少し好感度あげようとしてんですか』
「バレても多少和むだろうが。それと、尚人、今度二人で飲みにいくぞ。てめぇには言いたいことが山ほどあるんだよ」