腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
尚人はあからさまに嫌そうな声を出し、『さっきまで口調が丁寧だったのに、なんで今はそんな口調荒れてるんですか。そりゃあ、最低なことしましたけど』と、俺に疑問をぶつけた。
「もう仕事終わったから」
『対応変わりすぎ……分かりました、和歌に俺の連絡先聞いてください』
「そのつもり。逃げんなよ」
暖との通話を終えると、尚人は『アイツやば』と言いながら電話を切った。
「……暖、ドン引かれてたけど大丈夫?」
「アイツの方がドン引きすることしてるのに、逆にドン引かれるの気に食わねぇ」
「……二人で飲むの?」
「当然。和歌を殴ったことも許せねぇし、汚部屋なのもイラつくし、そんな女に捕まってることが気に入らねぇ」
暖はムカつくと言いつつも、尚人のことを心配しているように思える。暖は優しい。
「暖、あの……二人で飲む際、尚人にこれ返しててくれないかな」
先ほど尚人からいただいた現金が入っている封筒を、暖に差し出す。暖は運転している車を隅に停めた。
「五百五十万だぞ。浮気や暴行罪があったとはいえ、こんな額そうそう取れねぇよ」