腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


「はい、これ。部屋履き」


 暖はかわいいクマのスリッパを出してくれた。


「言っとくけど自分で買った。あと、この家に他のやつを入れたりとかもないから心配するなよ。真島は何度も入れたけど」


 暖は変なところで気遣いだと思う。


 それが私を不安にさせない気遣いだということも分かる。こういう細かい気遣いが嬉しい。


 一部屋一部屋見せてくれて、二階に上がると全面ガラス張りの大きな窓の先には広々とした日当たりが良さそうなテラスがあった。


「春になったらここから櫻坂の桜が良く見えるんだよ。たまに花びらとか吹いてくるときあるしな」


 櫻坂にある桜並木の桜はとても綺麗だけれど、桜の季節になると凄く賑わっているため、なかなか近づけない。ここで見れるのならば、こんなに嬉しいことはない。


 もう桜の季節は過ぎてしまったけれど、来年の桜が今から待ち遠しい。


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