腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「なんだかんだ、私だけではなく、尚人まで救ってしまう暖は凄いね」
「凄くねぇよ。アイツを許したわけじゃないし」
暖は私の頬に手を添えた。
「尚人から殴られたの痛かったろ。守ってあげなくてごめんな」
「ううん、もう痛くないから。暖がすぐに氷水で冷やしてくれたおかげだよ。唇を少し切っただけだから」
「いや、頬、少し腫れるな。二日くらい経てば腫れは引くと思うけど、今日は湯舟には浸からずに、シャワーを少し浴びるくらいがいいかもな」
「もっと甘えていいから」と、私の頬を摩りながら、とろけたような色気がある表情を見せる暖に胸の鼓動が高鳴る。
これはキスをする流れかもしれない。
目を瞑り一生懸命誘ったつもりではあったが、私のその行動は裏目に出てしまったらしく頬に触れるだけのキスをされた。
「和歌が俺としたいって思ってくれるまで待てるから。ほら、シャワー浴びてこい。これ、着替え」
今する流れでも構わないのに、「俺の片思い歴なめんなよ」と言われ、想われることの大切さを噛みしめる。