腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


「あ、あの……暖、恥ずかしい」

「俺も恥ずい。けど、嬉しいよ。本当に和歌と結婚できるんだなって、今すげぇ胸がいっぱい」


 恥ずかしさのあまりに、ひんやりとした掛け布団で顔を覆う。するとすぐに剝がされてしまった。


 私も胸がいっぱいなのに、そういうこと言うのはずるい。


「……尚人はそんなこと言わなかった」

「尚人はそうだったかもしれないけど、俺はしっかり伝えたい。なあ、婚姻届けいつ貰いに行く? 明日貰いに行くか」

「あ、明日!? 暖、気早すぎない?」

「出すのは別としても、記入することで形にだけでもしときたいじゃん。そしたら、もう和歌は尚人、尚人って言えないだろ」


 私が『尚人』と発することで、そんなに不安にさせてしまっていたんだ。今はもう暖しか見えていないのに、自信持っていいのに。


 私のこの気持ちは、どうやったら暖に分かってもらえるんだろう。


 「そういえば婚姻届けってパソコンでダウンロードできるんだったな」と、言いながら起き上がりデスクの上に置いてあるパソコンを触り始めてしまった。


「でも、婚約破棄してから一年は結婚しない方がいいってネットで見たけど……浮気と勘違いされるって」

「ああ、そうだろうな」

「そんなにすぐに結婚しちゃったら逆に尚人から慰謝料請求されたりしない?」


 ふと、疑問を投げかけると、暖は「それは大丈夫」と頷いた。

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