腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「婚姻届けの保証人の欄に尚人の名前貰うから」
「えっ!?」
信じられないことを言いだす暖に、開いた口が塞がらない。
不貞行為をした側に保証人の印を貰うなんて、そんなこと聞いたことがない。
「暖、尚人と仲良くなるの?」
なんでよりによって尚人に保証人の名前をもらうのかが分からない。
「仲良くはならないし、疑わせない。俺、ずっと和歌の家にいた時、ボイスレコーダーのスイッチつけっぱなしにしたままだったし。和歌も俺から婚姻迫られた時、ちゃんと否定してたから証拠にもなる」
「だとしても……」
「明日式場をキャンセルした精神的に参ってる尚人と待ち合わせて、櫻坂の料亭で飯でも食って印をもらう。ついでにぶーちゃんも呼ぶ」
「あ、明日!?」
尚人に証人の名前を貰うのはもっと先だと思っていたために、声が裏返ってしまった。
「そう。俺がどれだけ和歌を好きだったのかを力説してもらう。そんで、ぶーちゃんにも印を貰う」
「いや、えっ? でも……ぶーちゃん、それどころじゃないでしょ?」
ぶーちゃんは活動休止してしまうくらい、ストーカーの件で精神的に参っていたはずだ。
外に出て暖と、ましてや初対面の尚人とご飯を食べる、なんて。そんな気力あるのだろうか。