腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「ねぇ、暖。保証人の印は私の親でも大丈夫なんだし、もう少し落ち着いて考えてみようよ」
いくらムカついている人でも、そんな発想はできないし、私もできるなら貰ってほしくはない。
けれど、暖は一言「いやだ」と、拒絶した。
「アイツは慰謝料も返還されて、婚約指輪も和歌から返してもらってるんだぞ。せめてそれ相応の報いを与えなきゃ気が収まらない」
もはや、私以上に怒っている気もする暖に、私はそれ以上言葉を掛けることができなかった。
昨日の今日で婚姻届けを突き出されてしまう尚人は、どういう反応をするのだろう。ちゃんと受け入れてくれるだろうか。
「はい、和歌。名前書いて」
「あ、うん」
印刷された婚姻届けを出されたため、ペンを借りて婚姻届けにペンを向ける。
婚姻届けを書く作業は実は初めてだ。尚人の時は結婚式の当日に出そうと言っていて取りにさえ行っていなかった。