腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
これを書けば、私は暖のお嫁さんになるんだ……こんな紙切れ一枚でなれてしまうものなんだ。
そう思うと緊張して手が震える。なかなか紙に名前が書けない。
「和歌? どうした? 間違えたか?」
手を止めている姿を見た暖は「もう一枚刷り出せるぞー」と、婚姻届けを覗き込んできた。
「て、手が……震えて書けない」
「頑張れ、俺も手震えると思うから、数枚書く覚悟よろしく」
そんなこんなで婚姻届けに名前を記入するだけでも三十分はかかってしまった。
書き終えた頃には暖も私もぐったりしていて、二人してベッドに寝転がる。
婚姻届けに記入したからか、やっと暖とやっていく決心がついた。
「私、尚人と話し合いした時より疲れた」
「俺も」
手をそっと握り、お互い笑みを零す。
「ムードなくてごめんな。多分、この先もこんな風に和歌を振り回してしまうと思う」
「私は暖のそういうところを尊敬してるから。どこまでもついていくよ」
「和歌がこんなに俺にデレるなんて」と言いながら、強く抱きしめてきた。