腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
挙句の果てに和歌とやり直したいなんて、プライドがないにもほどがある。
「どの口が言ってんだよ。無理に決まってんだろ」
「で、でも……そこをなんとか! この金で依頼ってできますかね」
「俺は復縁屋じゃねぇ! それに悪いな、おまえにはこれにサインしてもらいに来たんだよ」
鞄から婚姻届けを取り出し、尚人に見せる。
尚人は「結婚するんですか、おめでとうございます」と一言口にした後、名前の欄を見て顔がサーッと青ざめた。
「え……? わ、和歌? 有栖川和歌って書かれてますけど……」
「ああ、そうだな」
「え? いつから……? 浮気?」
「浮気じゃねぇ。昨日、おまえが帰った後の音声。聞いてみろ」
ボイスレコーダーを取り出し机の上で再生させる。俺が和歌と結婚をする約束の内容が尚人の耳に入る。その間、豪華な料理が机の上に並べられた。
全てを聞き終えた尚人は、「婚約破棄した後……ですか」と、言葉を漏らした。