腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「ああ、和歌も同じこと言ってたな。尚人とは喧嘩したことなかったって」
「一回くらい本気で喧嘩してみてもよかったかも……」
「おまえが喧嘩しだしたら、和歌をボコボコに殴りそうだから喧嘩しなくてよかったわ」
わざと突き放した言い方をすると、尚人は「それもそうですね」と自分の過ちを悔いた。
「あと、尚人は掃除しろ! 部屋が汚ねぇ通り越して凄い悪臭放ってたぞ。それと料理だな。というか、家事全般を率先してやれ!」
「でも、和歌は楽しそうにしてくれてたけど」
「楽しいわけねぇだろ。和歌もおまえに手伝ってほしいって不満漏らしてたぞ」
「……そうなんですか」
また、尚人は『そんな本音も俺に言えなかったんだ』と落ち込んでしまった。なんだろう、凄く面倒くさい性格をしている。
「本音を言えなかったのもあるから、おまえは浮気したんだろ」
「……それは、そうだけど……」
「でもな、和歌にばっかりなんでもかんでも求めようとすんなよ。和歌はおまえのために良くやってたよ。親しき仲にも礼儀ありなんだから、おまえが変われ」
「……はい」