腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
隣で茶碗蒸しを食べていたぶーちゃんが一言「そう、俺のようにね!」と、自信満々に威張った。
「え? カズ、活動休止中ですよね? 何か変わったんですか?」
尚人の問いかけに、ぶーちゃんはうん、と、頷いた。
「そう! ストーカーの犯人をね、刑事告訴するんだ。示談で慰謝料をいっぱい取ることも考えたんだけど、やっぱり気持ち的にお金で解決できる問題じゃないからさ……」
ぶーちゃんの言葉に対し、尚人は机の上に置いてあった茶色の封筒に目を向け、
「和歌も……気持ち的にお金の問題じゃなかったんですよね」
と、呟いた。
「お金で解決する問題だったら、その五百五十万は返ってこなかっただろうな」
俺の言葉に被せるような形でぶーちゃんが「その封筒、五百五十万あるの!?」と目をギラつかせた。
ぶーちゃんを正気に戻すべく、大きく咳払いをする。
「もう、和歌の心は取り戻せないんですね……」
しんみりと和歌との思い出を思い出す尚人に、「俺と結婚するしな」と言葉を挟む。