腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


「聞くけど、おまえはその五百五十万を和歌のためにもう一度支払えるか? その金が無くなる代わりに、和歌と結婚できるって言ったらどうする」


 俺の質問に尚人は考え込んでいる。それでも、答えは最初から心の中に決まっていたようで、封筒から目線を逸らさないまま、「どっちも……」と卑怯な回答をした。

「どっちかじゃねぇ、どっちだ!」

「お金!」

 和歌、和歌と言いながらも、やっぱり尚人は大金の方が大切だということが身をもって思い知ることができた。

「金ならまた稼いで貯めればいいだろ。そんな覚悟で和歌とやり直したいって言ってんじゃねぇよ、人生そんな甘くねぇんだよ。……な、ぶーちゃん」

 ぶーちゃんなら分かってくれると思って同意を求めたのに、「そうだよ! でも、五百五十万か……捨てがたいな」と、封筒をチラ見している。

 頼むから、その金でトラブルを起こしてくれるなよ。




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