腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「ぶーちゃん、俺のは?」
「え? 東郷、そんなに俺のファンじゃないでしょ」
「俺がおまえの一番のファンだっての! じゃなきゃ、こんなに心配してねぇだろ!」
「いや、東郷、俺を使って自分の事務所有名にしたいのバレバレだもん」
そんな雑談を交えていると、ぶーちゃんが「婚約指輪とかってどうすんの?」と質問をしてきた。
婚約指輪は当然ながら買えていない。一般的にはプロポーズをする時に渡すはずなのに、勢い余って指輪無しでプロポーズをしてしまった俺が悪い。
「いや、まだ……」
そう答えると、ぶーちゃんは「俺、数年前まだ売れてなかった頃、ファンの悩み相談をしたんだけど、『旦那に婚約するときは事前に指輪じゃなくてネックレスが欲しいって言っていたのに、旦那はそのことを忘れて、全然好みじゃない指輪を貰いました。腹立ちます』って相談受けたことある」と、スマホの画面を見ながら教えてくれた。
婚約記念品で指輪を貰うことよりも、旦那と意思疎通ができていないファンの愚痴が気になってしまう俺は、もはや職業病だと思う。
「その全然好みじゃない指輪貰ったファン、そのまま結婚したのか」
「そうだね。で、その後続きがあって、結婚指輪は欲しかった指輪ではなく、価格が安い物にされました。って不満書かれてあった」
「絶対大丈夫じゃないだろ、それ……」