腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
けれど、ぶーちゃんのおかげで少しだけ情報収集ができた。婚約記念品はホテルの最上階で花火を見ながら渡そう。それまでに何が良いのか探りを入れよう。
「ぶーちゃん、ありがとうな。助かった」
和歌はジュエリーショップに勤めていたんだし、欲しい物は指輪以外にあるのかもしれない。
それからというものの、ぶーちゃんのストーカー女の件に本格的に取り掛かる。まだ刑事告訴まではしておらず、既に身元だけ特定している状態だった。戸籍法10条の2第3項に基づき、犯人の戸籍謄本等の交付の請求をしているなか、
「今日からパラリーガルで働かせていただくことになりました、磯部でーす。よろしくお願いします」
以前パラリーガルの枠で採用した磯部さんという女性がやってきた。磯部さんは今、二十五歳。真島と同い年だ。左手薬指に指輪をはめていることから、磯部さんは既婚者ということを知りホッと肩の荷が下りた。
磯部さんは肩までの黒髪で一見綺麗なのだが、時々発せられる俺達と年齢が近いのにギャップを感じてしまうのは何故だろう。
和歌は磯部さんに冷たいお茶とケーキを出してくれた。
「あっ、これ、ショッピングモールで有名なケーキがじゃないですかー。あっし食べてみたかったんですよねー。ほら、BUSAのカズもここのケーキが好きだって話してたしー」