腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


 ……ん? BUSAのカズ?

 ぶーちゃんのストーカー事件も今は抱えているために怖くなってしまい、「カズが好きなの?」と恐る恐る聞いてみた。


磯部さんはケーキを頬張りながら、「売れだす前からファンですね。あっし、カズに認知してもらってますしー」と得意げに答えた。


 ……認知? なんだ、この嫌な予感は。


「認知ってなに? まさかぶーちゃんをしつこくストーカーしてるわけじゃねぇよな?」

「はあ? そんなことするわけないっしょ。そんなのファンでもなんでもないですよ。あっしは昔からライブ行って、イベント行って、ファンレター書いて、真っ当なファンです! 追っかけなんてしないし」

「……そうか、それならいいけど」

 磯部さんの口調が気になって話が入ってこない。
 眉毛は短いし、化粧も濃いし。多分彼女は元はギャルなのだろう。

「先生もカズ好きなんですかー?」

「曲は聞けてないけど、カズは普通に好き」

「えーじゃあ、先生に自慢してもいいですか? この、数年前のSNSのコメント読んでくれて。ほら、この旦那のやつ。だから認知されてるんですよー」


 マジか。このパラリーガル、ぶーちゃんがこの間話していた、婚約記念品はネックレスが良かったと愚痴っていた女だった。また面倒な女が来てくれたもんだ。



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