腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


 ぶーちゃんの案件を抱えていると知った磯部さんは、暖を超えるほどの凄い熱量で「ストーカーにはファンがなんたるかというものを、最初から教えてやるんで、示談交渉する際、あっしも同行させてください!」とお願いしていた。


 磯部さんが見た目に増して仕事ができる人だった。

 真島くんがこなしていた作業を倍の速さで進めていく。


「磯部さん、前は違う事務所に勤めてたの?」


 そう聞くと、磯部さんは「あっし、ベリが丘の隣町に住んでるんですけど、そこの街の弁護士事務所でパラリーガルしてましたー。弁護士の先生三人とあっしを含むパラリーガル三人で仕事してたんですけど、あっし以外のパラリーガルはろくに仕事しなかったんで、あっしが一人で三人の先生の案件手伝ってましたー」


 なかなかハードな内容にゾッとする。


「なんで東郷法律事務所に応募したの?」

「給料が良かったんで。あと、ホームページに載せてる写真の雰囲気も良さそうだったし、東郷先生イケメンなんで、働きながら目の保養にしようって思いましたー」


 ここまで隠さず言えるのは逆に凄い。私も磯部さんという人間を見習いたい。


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