腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
真島くんは私に「ありがとうございます」とお礼を言い、口を開いた。
「実は……働いてなくて」
「……え?」
真島くんの泣き出してしまいそうな声に、耳を傾ける。
「働く予定ではあったんですけど、僕、前の転々とした職場がモラハラ、パワハラばっかりの職場だったんで。次もそういう環境だったらどうしようって思ったら怖くなって……あの後断ってしまったんです」
「じゃあ今は働いてないの?」
そう質問すると、真島くんは「はい」と消えそうな声で返事をした。
「暖のところには戻ってこないの?」
「……だって、スキルアップしてから戻るはずだったのに、スキルアップできないから戻れなくて」
「戻ってきていいよ。最近新しいパラリーガルの子が入ってきたんだよ。ギャルだけど仕事できるしいい子だよ。真島くんの負担もなくなると思うし、きっと仲良くなれるよ」
「……新しい人雇ったんなら僕いらないじゃないですか」
「そんなことないよ。暖もずっと待ってるよ。新しいパラリーガルの子、磯部さんっていうんだけど真島くんと同じでぶーちゃん好きだし」
「ええっ!? ぶーちゃ……じゃなかった。カズのファンなんですか?」
私がぶーちゃんの話題を出すと、真島くんは目をキラキラさせた。