腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


 真島くんは「顔を上げてください」と、私に顔を上げるように言ってくれた。

「いいんです。僕も、東郷法律事務所から抜けて、お金だけじゃないって分かりましたから。僕のように、パワハラやモラハラに苦しむ人たちの味方になってくれているって思ったら、考え方変わりました」


 真島くんは真島くんなりに考え方を改めてくれていた。

 今の真島くんなら暖のところに戻ってきても絶対大丈夫。そう、思う。


 その後、真島くんに暖と婚約した事を話すとビックリしつつも凄く喜んでくれた。

「――で、真島くんにお願いがあるんだけど、花火大会の日、暖がホテルの最上階を取ってくれていて。その日にプレゼント送りたいから一緒に選んでくれないかな」

「もちろん! 暖先生、以前ネクタイ欲しがってましたよ」

「ネクタイ?」

「はい。好きなブランドの新作のネクタイが出たのなんだのかんだの言っていたんですけど、仕事が忙しくて買えないと嘆いてました」


 真島くんに「この二階にあるブランドですよー」と案内された。ベリが丘限定の誰もが知る有名なブランド店に入り、『これです!』と教えてくれた。

 青い無地のネクタイだった。ネクタイの裏にはブランドのロゴがワンポイントで入っている。

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