腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー



「有栖川はどうなんだよ、婚約者との体の相性は」

「分からない。私、尚人が初めてだったし。体を重ねるってこういうことなんだって思ってた」


 自分からは特別そういう行為をしたいとは思わない。だから、自分から誘ったりもしない。尚人から求められたら受け入れるといった流れだった。


 でも、私以外と体を重ねたことがある尚人にとっては、私が一番じゃなかった。この事実は変わらない。


「実際問題、浮気や不倫をしてるやつの理由として、体の相性は大きかったりするんだよ。後は気持ちの問題。女性側で言えば寂しさを埋める為だったり。男性は流されてそういう関係になったり」


「……暖も、前の恋人とは体の相性で別れたの?」


「俺の場合は仕事だな。弁護士って司法試験を合格した後も勉強の毎日でよ。法律が改正されたり、新しい条例が出現したり、常に情報収集しなきゃいけないから。新しい知識を得るために、裁判に勝つために、時間が足りないんだよ。それを分かってもらえなかっただけ」

 「体の相性とか、そんな贅沢な考え持ち合わせていない」と、ため息を吐いた。


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