腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「ただいま……」
「今日暑かったからさ、先に風呂入っちゃった」
帰ってきたらまっ先に尚人に抱きつく私だが、到底そんな気になれない。尚人は今なにを思っているのだろう。
「飯、何する?」
「……今日具合悪くて早退したの。私はいらないから、尚人は適当に食べてくれるかな」
「大丈夫? んー、じゃあ俺外で飯食ってくるね」
『大丈夫?』と心配しつつも言葉だけで、準備を終えた尚人は外に出て行ってしまった。
今までなんとも思わなかった尚人の行動が、いちいち目に余る。本来なら寝室に行って休みたい。けれど、別の女と体を重ねた寝室にいたくない。
仕方なく、リビングのソファーに横になる。
今まで大好きだったのに。自分の中で、尚人への想いが冷めていくのを感じる。