腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
3.想い続けた人と思われ続けた人(暖side)
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「まったく! 暖先生には呆れましたよ、依頼人の女性と一夜を共にしようだなんて、逆に訴えられたらどうするんですか! ただでさえ、和歌さんは暖先生の好きな人なんでしょう!?」
ツインタワー内から出て、歩いて駐車スペースに向かっている間に真島に怒られる。
「今日は僕が車で送ります! 朝も迎えに行くんで、ちょっとは頭冷やしていてくださいね!」
「……ああ、悪いな」
和歌と再会して嬉しすぎて、和歌が大変な時に俺は浮かれまくっていた。
高校の頃は顔を合わせると口喧嘩ばっかりだったけれど、それが居心地良くて、ふいに友人に見せる笑顔がとても可愛くて。
俺の家が母親が離婚届を置いて出て行ったりと、ゴタゴタ続きだったけれど、和歌の存在が唯一俺の癒やしだった。
だから偶然会えた時、嬉しくて、もう和歌をどこにも行かせないと心に決めた。
怖いくらいの執着心が俺の中にあったんだということも、初めて知った。
このベリが丘の街で和歌と会うなんて思いもしなかった。ここで働くことにして良かった。