腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
真島の車の助手席に乗り、車を出してもらう。
「それと、先生がいない間に相談の予約入りました。明日、昼の十二時に暖先生のお知り合いという方が来ますからね!」
「俺の知り合い……わかった。ありがとな」
「もー、シャキッとしてくださいね! 和歌さんの案件が終わったら口説くなり一緒に住むなり好きにしていいですから。あー、あんなかわいくて綺麗な人……おまけに色気もあるし、良い匂いするし胸もそこそこ大きいし体もムチムチしてて、絶対抱き心地いいですし、暖先生ばっかり羨ましいです!」
俺のことを『しっかりしろ』と正しつつも、和歌に対して下心丸出しな真島。全然説得力がないし、むしろ真島の方が和歌に手を出しそうだ。
「てめぇ、和歌に手出したら一生呪うからな」
「た、出しません! ドライヤーする時に少し髪の匂いを嗅いだだけです! そもそも僕、彼女いますし!」
ちゃっかり和歌の肌や体つきを確認しているくせに、コイツの変態ぶりには呆れる。
「恋人いるんなら、羨ましがるなよ、キモいな」
「だ、だって! 本当にドンピシャで、僕の好みだったんですもん! もーっ、暖先生の想い人じゃなかったら、僕が猛アプローチしてました! そんで、成功したら彼女と別れます!」
「……せめて、彼女と別れてからアプローチしろや。とんだクズだな」
「失敗したら怖いじゃないですか。彼女とは婚約していないですし、ただのお付き合いですし、訴えられても慰謝料の心配もないですしー、ああ、法を味方にしててよかったー」
真島の恐ろしい本性が垣間見えた瞬間だった。