腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
知り合いと聞いていたから、誰が相談に来るのかと思ったら、相談者はぶーちゃんだった。
「……で、内容は?」
「ええっと、ストーカー被害ですね。何度もしつこくつきまとわれてたらしくて、家バレもして、何度もインターホン鳴らされたりとか、出待ちとか」
「ああ……」
「――で、セキュリティに特化してるベリが丘のノースエリアに引っ越してきたみたいです」
真島は『かわいそー』と言いながら、なぐり書きで書かれたメモの文章を読み上げた。
「まあ、ノースエリアに引っ越しできさえすれば、櫻坂の行き止まりの門には守衛がいるしな。厳重警備だから、絶対通れないし。今後は安心だろ」
「そうですね。恐ろしい!」
真島はタプタプとスマホの画面を触っている。そして、「今、BUSA、一時的な活動休止してるみたいです」と、俺にスマホを見せてきた。
「まあ、ボーカルはぶーちゃんだし仕方ないのかもな。ぶーちゃん、精神やられてるのかも」
「ぶーちゃんじゃなくてカズです! あの人、ぶーちゃんて呼ぶほど、安っぽい人じゃないでしょ!」
いや、俺にとったらぶーちゃんだし。
そんなことを思いながら、他の業務をしつつ、ぶーちゃんが来るのを待った。